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第65回日本腎臓学会学術総会で発表してきました

 2022年6月10日に神戸で開催された、第65回日本腎臓学会学術総会で発表して参りました。
 新型コロナウイルスの影響で、近年は多くの学会がWEB開催(もしくは現地とのハイブリッド開催)となっておりましたが、今回は久しぶりの現地での発表となりました。

 発表したテーマは「高齢IgA腎症患者における口蓋扁桃摘出術+ステロイドパルス療法の有用性の検討」についてです。私が独立行政法人国立病院機構 嬉野医療センター腎臓内科で勤務していた際に、院内臨床研究の代表責任者として行わせて頂いた研究報告になります。

 概要を説明致しますと、これまで60歳以上の高齢IgA腎症患者様における両側口蓋扁桃摘出術+ステロイドパルス療法(扁+ス)の有用性や、扁摘の適応年齢上限などを示した報告はありませんでした。
 2014年4月1日から2020年11月30日の期間に、嬉野医療センターにて60歳以上で腎生検で確定診断されたIgA腎症の患者様において、日本で認められているすべての治療選択肢を提示し、各々の有用性、ならびにリスクを充分説明した上で、(扁+ス)を希望選択され、かつ診断から1年間以上観察できた患者様において、診断時と施行後(1年後、最終観察時)の尿所見、腎機能、治療に伴う有害事象の有無等を評価し、その有用性と安全性を検討しています。
【結果】診断時平均年齢66歳(61-73歳)。確定診断、(扁+ス)治療1年後において、有意に尿蛋白量と血尿は減少し、eGFRは増加しました(腎機能が改善しました)。最終観察時(平均観察期間43ケ月)においても、診断時と比し有意に尿蛋白量と血尿は減少を示しました。(扁+ス)治療に関連した深刻な有害事象は認めず、腎死(末期腎不全になり透析や腎移植が必要になること)や死亡に至った患者様はいらっしゃいませんでした。
 確定診断より1年後の尿蛋白の値が、その後の腎機能喪失の独立した予後因子であったことが過去に報告されており(Okabayashi, et al. Clin Exp Nephrol. 20:910-917, 2016)、今回の臨床研究において、(扁+ス)は高齢IgA腎症患者様でも比較的安全であり、治療介入により長期的にみて腎予後を改善する可能性があることが示唆されました(症例数が多くはなく、今後の長期前向き試験、ならびに症例を蓄積することで、その有用性・安全性を更に検証することが必要と考えられました)。

 なお、詳細は以下の英語雑誌に投稿し、論文掲載されておりますので、ご興味がある方はご参照頂ければ幸いです。
(Takashima T, et al. Clin Exp Nephrol. 25:804-806, 2021)

 今回の学会に参加し、他より学び得た知識を、今後の日々の診療に活かしていきたいと思います。

髙島 毅

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